3,死という事実,,そして心 3
50年前,日本は,世界的にも稀な,うつ病が少ない国だったそうです。 食生活の変化(日本人の体質には,魚からの成分が重要)も大きかったようですし, 生活スタイルの変化(群れ遊びの減少,核家族化)も要因にあげられそうです。 血縁者には,うつ病の方が居なくても,うつ病と付き合うようになった方は,たくさんおられます。 遺伝的な要因が,まったくないとは言い切ることはしませんが, 私は,客観的に見て,遺伝的な要因以外の方が,非常に大きいと考えて良いと思います。 (生育環境などの単一的な要因ではなく,複数の要因とタイミングという意味です) 小規模な調査の組み上げからの予測では,日本人の4〜7%の方が うつ病に罹患されているそうです。 1億2000万人 × 0.05 = 600万人もの方が うつ病と付き合っておられることになります。 もちろん,「心の風邪」と甘く見るだけで済むものではないと思います。 どんな病気でも同じではありますが,その辛さは耐え難いものがあります。 対応の方法がない段階もありますし,数日で症状が急進する場合もないわけではありません。 けれど,それでも,多くの方が,うつ病との付き合い方を習得し,さらには克服され, 的確な対処を早期に行うことができれば,ほとんど完治するとも言える病気です。 もっと言うならば,うつ病になり,新しい自分,新しい生き方を再発見され, むしろ,病気になって良かった事のほうが多いという感想をお聞きしたことすらあります。 うつ病になられる方の比率は,女性が男性の約 2 倍です。 けれど,自死される方の比率は,男性が女性の約 2.5 倍です。 このことからも,うつ病 = 自死 は,明らかに短絡的な見方であるし, 最新の適度な知識と,注意予防は大切だと思いますが, 過度の心配は,むしろ別の面での大きなストレス要因となると考えて良いと思います。 ここまで,私はくどいくらいに,自死=精神疾患とは言えないと書き記してきました。 それは,既存の心の病の病名に対する偏見(偏った見方)が存在するためです。 けれど,それらの病名による区分であるとか,症状であるだとかを超えた, 今の私たちには及ばない領域でのなにかによって,たったひとつの命のあるなしという, 悲しい辛い区分けがされたのだろうと思えるのです。 命を絶つという意思決定をされ,行動をし,けれど,結果として,今,命ある方と話すほどに, その瞬間の記憶は曖昧であるし,自分が自分ではない瞬間があったと言われます。 そして,未遂に終わった方々の30〜80%の方が,命があって良かったと言われているそうです。 私の個人的な価値観なのですが・・・ いわゆる神様仏様と言われるような,未知なる部分を土台として構築された領域ではなく, いずれ,万人が共通して納得しうる,科学を土台とした形式によって, その瞬間の区分けが行われてしまった事実が,少しづつ明らかになっていくはずです。 ですから,今は,私の直感的な答えでしかありませんが, 冒頭に記したように,ほとんどの場合,既存の心の病の解釈を超えた領域によって, 「自死行動をするその瞬間には,様々な要因によって,明確な判断能力が失われた状況にある」 と,言って良いのではないか?・・・と,私は考えています。 |